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本センターの主たる研究対象である筋萎縮性側索硬化症(以下ALSと略)は、上位および下位運動ニューロンの選択的変性を特徴とする神経難病で、未だその有効な治療方法・治療薬は開発されていません。
本センターでは、2001年に遺伝性ALSの原因遺伝子として“ALS2 遺伝子”を発見し、その遺伝子産物(ALS2)の分子機能解析およびマウスモデルを用いた研究により、ALS2がオートファジー・エンドリソソーム系の調節因子であることを世界に先駆けて明らかにしました。さらに、基礎研究部門と臨床グループが密接に連携した研究体制のもと、これまでにALSの治療薬となり得る候補薬を複数発見するという成果も上げてきました。
しかし、現在、ALSをはじめとする神経変性疾患の多くは、未だその発症メカニズムが全面的に解明されているとはいえず、今後さらに深化した基礎研究が必要とされているのも事実です。本センターでは、基礎医学と臨床医学の融合に加えて、工学部との有機的な医工連携研究体制のもと、神経変性疾患の発症メカニズムの解明に力を注いでいます。そして、疾患発症メカニズムに基づく新たな治療方法・治療薬の開発を目指しています。
具体的には、分子生物学的、生化学的、細胞生物学的および遺伝子改変マウスを用いた実験動物学的手法を駆使することにより、オートファジー・エンドリソソーム系調節因子の分子機能解析、神経細胞における膜・物質移送機能、および異常タンパク質の蓄積・分解についての解析を進めています。また、医工連携研究では新たな神経突起極性制御マイクロ流体デバイスの開発を進めるとともに、ALS患者由来の人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた疾患発症メカニズムおよび治療法に関する研究も行っています。
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