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がんは日本人の死因の第一位を占める疾患であり、その診断・治療・予防の進歩は国民の健康・幸福の増大に大いに寄与することが期待されます。がんゲノムの研究は個別化医療の実現や、がん治療法の開発、薬剤耐性の理解、がんの発症や進行のメカニズムの解明、がんのリスク因子の解明、早期検出方法の開発などに役立つ重要なテーマです。
がんのゲノム異常が起きる際に、DNA修復の異常が関与することも多いと考えられています。DNAは様々な原因により損傷をうけますが、細胞にはDNA修復メカニズムが備わっているため通常は効率よく修復されます。しかしDNA修復に異常があると、損傷が修復しきれずに細胞死がおきたり、不正確な修復の結果として変異が蓄積しがん化が促進されます。一方で、DNA 修復異常のあるがん細胞はある種の抗がん剤がよく効くことが知られています。このようにDNA修復はがんの発症・治療の両方に関わります。したがってがんの発症機序を理解し治療を効率よく行うためにはDNA修復メカニズムの解明はとても重要なのです。
本センターでは、がんゲノムに重要な役割を果たすDNA修復メカニズムに焦点をあてた研究を行っています。具体的には、BRCA1, BRCA2, ファンコニ貧血遺伝子が関与するFanconi anemia-BRCA pathwayの研究、ヌクレオチド除去修復に関与するDGCR8タンパクの研究、DGCR8のパートナーであるDroshaのDNA修復における役割の研究などを行ってきました。これらの研究の知見をがんの診断・治療・予防に役立てることを目指しています。意欲のある若手研究者の参画を期待します。
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