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領 域 : 消化器内科学
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教員氏名 : 鈴木 秀和(スズキ ヒデカズ)
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取得学位 : 博士(医学)
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身分・役職: 内科学系消化器内科学 教授
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専門分野 : 消化器内科学、消化器内視鏡学、消化器病態学
【研究業績】
胃がん幹細胞を標的する新規治療戦略の確立のための基盤研究、
AIによる消化器画像診断学の開発、消化管疾患の薬物療法の開発、
消化管腔内微生物と消化器疾患の関連の検討
【所属学会】
日本内科学会、日本消化器病学会(財団評議員)、日本消化器内視鏡学会(社団評議員)、日本肝臓学会、日本微小循環学会(理事長)、日本潰瘍学会(理事)、日本神経消化器病学会(理事)、日本がん予防学会(理事)、日本酸化ストレス学会(理事)、日本ヘリコバクター学会(理事)、日本胃癌学会(評議員)、日本臨床腫瘍学会
研究内容
ヘリコバクターピロリ(H. pylori)が胃癌発症に関わることは、国際的にも認知されているが、本菌の除菌だけで、全ての胃癌が予防できるわけではない。本菌感染により、胃粘膜萎縮や腸上皮化生といった炎症性変化が長期間を経て進展するので、ある時点を超えると本菌の除菌では回避できない病態が発症してしまう。我々は、すでに、癌幹細胞マーカーとして知られるCD44v9陽性細胞が発生している胃粘膜では、除菌後でも異時性異所性胃癌が高率に発症することを報告し(Br J Cancer. 2013 Jul 23;109(2):379-86. doi:10.1038/bjc.2013.314.) (図1)、

同時に、本菌が宿主細胞内へ装填する癌蛋白質CagAが、CD44v9陽性細胞内では、通常の上皮細胞とは異なりautophagy分解を
受けないため細胞内に蓄積することを示した(Cell Host Microbe 2012 Dec 13;12(6):764-77. doi: 10.1016/j.chom.2012.10.014.)。
これらの結果は、H. pylori感染に伴う胃発癌プロセスのキーファクターはCD44v9陽性細胞の発生にあることを示している。さらに、我々は、アクチン重合の制御蛋白質CAPZA1(Capping Actin Protein of muscle Z-line alpha subunit 1)の過剰発現細胞へのH. pylori感染がCD44v9陽性細胞の発生を誘導することを明らかにし、CAPZA1の過剰発現細胞がCD44v9陽性細胞の前駆細胞となることを示した(Autophagy 2019 Feb;15(2):242-258. doi: 10.1080/15548627.2018.1515530., Cell. Mol Gastroenterol Hepatol. 8(3):319-334, 2019. doi: 10.1016/j.jcmgh.2019.05.008.)(図2)。

現在我々は、CAPZA1の発現を制御し、CAPZA1の過剰発現細胞を誘導する因子を、H. pylori感染胃粘膜における発癌規定因子と考え、その因子を探索している。我々の検討に加え、近年の遺伝子解析技術の進歩による胃内共生細菌叢解析の結果は、胃内共生細菌叢は、背景粘膜の状態(酸分泌や粘液分泌の状態)により、均一ではないことが明らかとなり、胃内共生細菌の中に、本菌と相加相乗的に胃発癌を促進するpathobiontが存在する可能性が否定できなくなっている(図3)。

現在、AMEDの医療分野国際科学技術共同研究開発推進事業 戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)日・リトアニア共同研究に採択され、胃発がんリスクが共に高い日本、リトアニアの両国の胃がん患者、胃炎患者を対象とし、H.pyloriの解析だけでなく、胃内細菌叢やエクソソーム中のmicro RNAのプロファイル、胃内環境の短鎖脂肪酸濃度や食生活の違いなどを総合的に解析
することで胃発がんのリスク要因を分析する国際共同研究を展開している。
現在、我々は、胃オルガノイドより構築した幹細胞駆動型単層上皮細胞層(mucosoid)を用いたin vitro
モデル(図4)を活用し、H. pylori感染に伴い変動する胃内共生細菌や共生細菌代謝産物に注視し、CAPZA1の過剰発現細胞を誘導する因子を探求し、H. pylori感染に伴う胃発癌機構の本態解明に挑んでいる。これらの成果を基盤に、胃粘膜だけでなく、消化管腔内環境改善による非発癌胃粘膜を維持する治療的介入の開発を目指している。

また、最近は、胃粘膜に病変を認めずとも、症状を発現する機能性ディスペプシアの患者様が増えており、その治療にはかえって難航することもある。最近、我々は、ディスペプシア症状を起こすピロリ菌の遺伝子多型を報告したが(Cell Mol Gastroenterol Hepatol. 2019;8(2):295-297.e6. doi: 10.1016/j.jcmgh.2019.05.004.)、胃内細菌叢が症状を発現する機序についても、マスター因子を明確化することで、創薬基盤につなげることが可能と考える。
一方、1980年代から、H. pylori以外にも胃内には特徴的ならせん菌H. suisが感染しており、胃MALTリンパ腫形成に強く関与すると推察されていた。しかし、H. suisの分離培養が極めて困難であり、胃MALTリンパ腫発症への関与は不明のままであった。2018年、共同研究者によりヒト胃生検組織からのH. suis分離培養技術が開発され、現在、AMEDの新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業 「ヒト胃に感染するピロリ菌以外のヘリコバクター属菌による感染病態の解明」に支援を得てH.suis除菌による胃MALTリンパ腫及び難治性消化性潰瘍に対する病態消退効果の検討(特定臨床研究)を展開している。
本邦の大腸癌患者は年々増加し2017年には年間患者数が15万人を突破した。大腸癌は大腸粘膜表面で発生し粘膜下層に向かって浸潤する。近年、大腸癌の発生過程に対する腸内細菌の関与が注目され、次世代遺伝子解析技術を駆使して世界的に研究が展開されている。一方我々は、腸内細菌の暴走による腸管粘膜チロシンキナーゼシグナルの異常活性化を確認しており、本メカニズムによる大腸癌発生の分子機構の解明とそれに寄与する腸内環境の特定により、大腸癌の発生・進展の分子メカニズムの解明にも挑んでいる。
主な論文
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Scarpellini E, Arts J, Karamanolis G, Laurenius A, Siquini W, Suzuki H, Ukleja A, Van Beek A, Vanuytsel T, Bor S, Ceppa E, Di Lorenzo C, Emous M, Hammer H, Hellström P, Laville M, Lundell L, Masclee A, Ritz P, Tack J. International consensus on the diagnosis and management of dumping syndrome. Nat Rev Endocrinol. 2020;16(8):448-466. doi: 10.1038/s41574-020-0357-5.
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Tsugawa H, Kato C, Mori H, Matsuzaki J, Kameyama K, Saya H, Hatakeyama M, Suematsu M, Suzuki, H*. Cancer stem-cell marker CD44v9-positive cells arise from Helicobacter pylori-infected CAPZA1-overexpressing cells. Cell. Mol Gastroenterol Hepatol. 8(3):319-334, 2019. doi: 10.1016/j.jcmgh.2019.05.008.
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Matsuzaki, J., Tsugawa, H., Kashiwazaki, Y., Mori. H., Yamamoto, Y., Kameyama, H., Masaoka, T., Kanai, T., Suzuki, H*. Neutrophil-activating protein polymorphism of Helicobacter pylori determines the host risk of dyspepsia. Cell. Mol. Gastroenterol. Hepatol. 8(2):295-297.e6, 2019. doi: 10.1016/j.jcmgh.2019.05.004.
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Tsugawa, H., Mori, H., Matsuzaki, J., Sato, A., Saito, Y., Imoto, M., Suematsu, M., Suzuki, H.* CAPZA1 determines the risk of gastric carcinogenesis by inhibiting Helicobacter pylori CagA-degraded autophagy. Autophagy 15(2):242-258, 2019. doi: 10.1080/15548627.2018.1515530.
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Pauwels A, Boecxstaens V, Andrews CN, Attwood SE, Berrisford R, Bisschops R, Boeckxstaens GE, Bor S, Bredenoord AJ, Cicala M, Corsetti M, Fornari F, Gyawali CP, Hatlebakk J, Johnson SB, Lerut T, Lundell L, Mattioli S, Miwa H, Nafteux P, Omari T, Pandolfino J, Penagini R, Rice TW, Roelandt P, Rommel N, Savarino V, Sifrim D, Suzuki H, Tutuian R, Vanuytsel T, Vela MF, Watson DI, Zerbib F, Tack J. How to select patients for antireflux surgery? The ICARUS guidelines (international consensus regarding preoperative examinations and clinical characteristics assessment to select adult patients for antireflux surgery). Gut 68(11):1928-1941, 2019. pii: gutjnl-2019-318260. doi: 10.1136/gutjnl-2019-318260.
