大学院医学研究科 教員紹介 加藤 明

  • 領 域  : 生体機能学

  • 教員氏名 : 加藤 明(カトウ アキラ)

  • 取得学位 : 博士(理学)

  • 身分・役職: 基礎医学系生体機能学 准教授

  • 専門分野 : 神経生物学、神経生理学

【研究業績】
運動学習メカニズムの解明、眼球運動を指標にした中枢神経系異常の検出

【所属学会】
日本神経科学学会、日本神経回路学会、日本小脳学会、臨床環境医学学会、Society for Neuroscience、Asia Pacific Neural Network Society

研究内容

 眼球運動はサカナからヒトに至るまで観察される定性性・定量性の高い出力系であり、種を越えて比較的シンプルに制御されているため、感覚-運動の入出力シグナル変換メカニズムにアプローチする優れたモデルとなることが期待できる。これまで、多くの遺伝子変異マウス及び薬物投与マウスの運動制御、特に眼球運動について詳細な解析を行ない、遺伝子から神経回路、行動に至る多様な側面から運動制御及び運動学習の中枢メカニズム解明に取り組んできた。最近では、光刺激によりシナプス伝達を部位・時間選択的に制御するシステムを用いて小脳シナプス可塑性と運動学習との密接な関係を明らかにした (Kakegawa, Katoh et al. 2018)。また脊髄小脳変性症6型の原因遺伝子である CACNA1A 遺伝子変異マウスの解析を行ない、P/Q 型電位依存性 Ca チャネルを介するシグナルが眼球運動の時間的要素の適応に選択的に関与することを明らかにした (Katoh 2007, 2008)。
 運動学習は、トレーニングによるスポーツの技能向上、運動障害患者のリハビリテーション等、私たちの日常生活にも深く関わっている。効果的な運動学習を行なうためには、トレーニングの強度だけでなく、いかにストレスを軽減するかが重要であることは経験的に知られているが、運動学習の効率に及ぼすストレスの影響については行動学的・心理学的アプローチが多く行なわれており、特に運動学習中枢である小脳におけるストレス関連因子の生理的役割など、その神経回路メカニズムの詳細については不明な点が多い。現在、運動学習へのストレスの影響について、光遺伝学と呼ばれる最新の技術を応用した神経回路学的アプローチを行なっている。
 また、統合失調症やシックハウス症候群などの神経疾患患者では眼球運動異常が報告されているが、その発症メカニズムなどは必ずしも明らかではない。眼球運動の高い客観性・定量性を生かし、マウス・ラット眼球運動を用いて客観的診断指標を確立し、様々な神経疾患の治療につながる発症メカニズムの解明に取り組んでいる。

 

主な論文

  • Takeuchi E, Hatanaka T, Iijima T, Kimura M and Katoh A. (2024) The effects of corticotropin-releasing factor on motor learning. Scientific Reports 14(1):17056. doi: 10.1038/s41598-024-66736-0.

  • Katoh A. (2022) Learning paradigms and genetic tools for the study of cerebellum-dependent learning and memory. Neuromethods 177, pp109-132, Roy V. Sillitoe (ed), Humana Press Inc., USA. DOI: 10.1007/978-1-0716-2026-7_6

  • Miyamoto T, Hirata Y, Katoh A, Miura K and Ono S. (2021) The influence of stimulus and behavioral histories on predictive control of smooth pursuit eye movements. Scientific Reports 11(1):22327. doi: 10.1038/s41598-021-01733-1.

  • Kakegawa W, Katoh A, Narumi S, Miura E, Motohashi J, Takahashi A, Kohda K, Fukazawa Y, Yuzaki M, Matsuda S. (2018)  Optogenetic Control of Synaptic AMPA Receptor Endocytosis Reveals Roles of LTD in Motor Learning.  Neuron 99(5):985-998. doi: 10.1016/j.neuron.2018.07.034. 

  • 加藤明、中谷七海、志村史子、木村穣. (2023) マウスを用いた動揺病を引き起こす前庭-視覚環境条件の探索とその予防へのアプローチ.  臨床環境医学 vol.32 no.2, 77-84.