大学院医学研究科 教員紹介 紙谷 聡英

  • 領 域  : 分子生命科学

  • 教員氏名 : 紙谷 聡英(カミヤ アキヒデ)

  • 取得学位 : 博士(理学)

  • 身分・役職: 基礎医学系分子生命科学 教授

  • 専門分野 : 細胞生物学 肝臓生物学 病態モデル動物

【研究業績】
幹細胞を用いた難治性肝疾患の新規治療法の開発

【所属学会】
肝細胞研究会、日本再生医療学会、日本肝臓学会

研究内容

 肝臓は生体のホメオスタシスを司る重要な機能を果たしており、その機能が障害されることで重篤な疾患につながる。肝炎ウイルス等の感染やアルコールの過剰摂取、脂質等の代謝異常による脂肪肝は肝臓における持続的な炎症状態(慢性肝炎)の原因となり、やがて肝硬変、肝癌といった致死的な病気へと進行する。このような終末期肝疾患に対する根治療法とは、現在のところ肝臓移植のみが有効な治療法である。肝臓は固形臓器としては特徴的な高い再生能を持ち、全体の 70%を切除しても残りの部分が増殖・再生することで約 1 週間程度で元の大きさを取り戻す。しかし、慢性肝炎等を起こした肝臓では持続的な細胞の破壊と再生が繰り返されることで再生能力が破綻し、肝臓に線維芽細胞や細胞外マトリクスが沈着する肝硬変や肝癌等の重篤な肝疾患を引き起こす。
 胎児や大人の肝臓には、肝臓を構成する機能細胞(肝細胞および胆管細胞)への分化能を持つ肝前駆細胞が存在し、発生が進むにつれて成熟した肝機能を獲得していく。我々は肝細胞の発生過程における遺伝子の発現パターンの変化を詳細に解析することで、肝前駆細胞の成熟化を促進する新規因子を複数同定し解析を進めている。その一つであるBcl6は肝臓の薬物代謝や脂質代謝を制御する中心的な転写調節因子である。当研究室では、肝臓特異的Bcl6欠損マウスを解析することで、Bcl6が肝臓における薬物・脂質代謝の雌雄差を制御するとともに、脂肪肝炎における雌雄での病態の違いを制御し、脂肪肝炎の重篤化(肝癌の進行)に深く関与することを見出している。このように、幹細胞生物学とゲノム編集を含めた動物モデルを組み合わせることで、肝臓における疾患メカニズムの理解につなげる。

主な論文

  • Yamazaki Y, Kikuchi K, Yamada Y, Neo S, Nitta S, Igarashi H, Kamiya A, Hisasue M. Reprogramming canine cryopreserved hepatocytes to hepatic progenitor cells using small molecule compounds. Reg Ther. 2024, 26, 1078-1086

  • Tsuruya K, Yokoyama K, Mishima Y, Ida K, Araki T, Ieda S, Ohtsuka M, Inagaki Y, Honda A, Kagawa T, Kamiya A. Abcb4-defect cholangitis mouse model with hydrophobic bile acid composition by in vivo liver-specific gene deletion. J Lip. Res. 2024, 65, 100616.