臨床腫瘍学は、薬物療法、放射線療法、細胞療法を駆使してがん治療を行う領域です。従来、臓器別に特化したがん治療を行ってきた日本では、横断的にがん治療を実践する臨床腫瘍学の人材が十分とはいえず、そうした状況を解決するために、現在、研究と臨床を有機的に結合させた統合的な戦略を持ってがん治療に携わる人材を養成することが求められています。本学の「がんプロフェッショナル養成コース」はそのような人材を育成するために開設されています。
具体的には、網羅的遺伝子解析から見出された遺伝子多型マーカーを活用した個別化医療「テーラーメイド・オーダーメイド医療」の推進や、2002年から始動している創薬プロジェクトなど、臨床での活用を目指した研究が積極的に行われており、遺伝子、創薬といった領域で大きな成果を挙げてきました。また細胞治療の領域では、1981年に骨髄移植プロジェクトを開始し、翌年には医学部付属病院として初めて同種骨髄移植に成功し、今日の再生医療の基礎を築きました。現在、再生医学センターでは、血液、血管、脊椎、皮膚の4つの専門領域に分かれてがん治療に結びつく新たな細胞治療の開発を行っています。
このような研究基盤・環境に加えて、本学では15年ほど前から全国に先駆けてクリニカルリサーチコーディネーター(CRC)養成に力を注ぎ、現在では、がんに対する分子標的治療薬などの新薬の治験・臨床研究の管理および実施支援の現場で多くのCRCが実働しています。
以上のような実績に基づいた本学の「がんプロフェッショナル養成コース」は、医学及び生命科学分野の研究者、研究マインドを持つ専門医、医学・生命科学の研究に様々な役割を担う専門職を目指す皆さんにとって、がん治療の未来を切り拓く絶好の機会ともいえます。多くの方が参加されることを期待します。
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